9 Jun, 2005「パリ出国」
■ついに発覚...。

CDG2内を、到着した日とは逆に歩いて行く。
キャセイパシフィックの香港行きのチェックインは始まっていた。
カウンターの黒人女性に、念のため搭乗口を確認。
「サンキュー。メルシー!」
「メルシー」を、出発までに何回使うことが出来るかな...。

時間はちょうどお昼を回った頃。
機内食がすぐに出るかどうか解らなかったし、
少しばかりお腹が空いて来たので、
先に何か食べてから出国手続きに行こうと思ったけど、
ちょっと見ると結構並んでいたので先に手続きに。
が、意外と流れが早く、10分掛からずに通過。

さてここで、今まで一度もチェックされず何も言われなかった、
鼻毛切り用の小さいハサミが発見される。
持ち込みはダメだと..。
いや、爪切りでもダメと言われるとは話に聞いていたけど、
今まで何度もX線を通して来たじゃん...。
鼻毛切りハサミを凶器としたハイジャックは、結構難しいだろ...。
詰め切りよりは使えるかもしれないけど....。
しかもこのハサミ、結局こちらで一度も使わなかったから、
わざわざフランスに捨てる為に持って来たようなもんだな。
って言うか、なんでこんなモノをリュックに入れたんだろう?

出国手続きを済ませて、自分の乗る搭乗口を確認してから、
売店でサンドイッチと炭酸水を買い、ベンチに座って食べる。
なんだか普通のサンドイッチ。日本のコンビニで買ったみだいだ。
今までいろんな売店や小さな店で感じて来た異国的情緒的驚きと喜びは、
このサンドイッチには一切無し...。まぁ、当たり前か...。

斜め向かいのベンチに座っている(たぶん)日本人の母娘の、
娘さんの揃った前髪が短いのがすごく気になる....というか、印象的。
まぁ、今風ではある...。
たぶん、ハタチ前後くらいの娘だとは思うけど、
友達同士では無くお母さんと一緒に海外旅行という風景は、
その娘の見た目がイマドキな感じなので、余計に微笑ましく感じる。
まっ、勝手な想像の上の勝手な感想...。

待ち合いスペース横の香港行きの搭乗口にはすでに長い列が....。
東洋人系のおじさんが搭乗口の列の乗客を仕切っている。
キャセイの人なのか、ツアコンなのか解らないが...。

食べ終わってから、もう一度売店に行きミネラルを買い、
免税店の横にあった小さな書店で、
バイク仲間へのお土産用フランス産バイク雑誌を物色。
レジに並んだところで、先ほど搭乗口で仕切っていた東洋系のおじさんが、
香港行きに乗るのか?と聞いてくる。キャセイの人だったのか...。
そうだと言うと、「急いで来て!」と言う感じ。
えっ?もうそんな時間?...と、あわてて本を買い、すぐ横の搭乗口へ。
どうやら、雑誌の中身をあ〜だこ〜だ見ているうちに、
思った以上に時間が経ってたらしい。本屋ではよくあることだけど....。
いつの間にかあの長い行列の人は消えていて、既にだれも居ない。
微妙に焦る。
まぁ、飛行機はまだ目の前に居る訳だが。
チケットを渡し、この旅最後の「メルシー」を発声し、機内へ。

機内はまだ通路に立って荷物を片付けている人が多く、中々先に進めない。
ようやくたどり着いた僕の席の隣は、日本人らしき若い女性2人。
どうやら後ろの席の3人と同じ仲間らしい。
「日本までですか?」と聞くと、そうだった。
同じJTBの格安チケットを買ったのだろうか?
どちらかと言うと、格安チケットで貧乏旅行...というより、
普通に「●泊●日で行く憧れのパリ!」....って感じのツアー客に見える。
「一泊二日で行く草津温泉!」の新幹線に乗ってる客と同じ顔。
あぁ、つまり、何か守られたのほほんとした感じ...。
まぁ、普通はそうか...。
それにもう機内だし、仲間が一緒だし。偏見だな....。

定刻通りに飛行機は動きだし誘導路を走りはじめる。
3席向こう側の窓からは、誘導路を同じように離陸に向かう飛行機。
本滑走路の端で離陸許可を待つ飛行機。
滑走路から離陸していく飛行機。
工場の流れ作業のように、次々と各社の飛行機が離陸して行く流れが見える。
(UPSの飛行機が滑走路に並ぶCMを見る度に、この風景を思い出す)
さて、この香港行きも滑走路の端で離陸の順番を待つ。
あぁ、本当にこれでヨーロッパから離れるんだなぁ。
到着から今まで、たった8日間しか経って無いんだけど、
もう、随分長くこちらに居るような気がした。

ほどなくエンジンの音が一気に高まり、一瞬遅れて加速体制に入る。
機体の前方が斜めに持ち上がると、後輪が滑走路から離れる瞬間を感じる。
窓の外の街がどんどん小さくなって行き、すぐにいくつか雲が視界を横切る。
いつの間にか少し天気は悪くなっていたようだ...。

ヨーロッパを去ることの現実感が、まだ無い。
9 Jun, 2005「パリ出国」End.

出国カウンターを抜けたところ。何故、今まで発見されなかったのか?何故、ここではダメなのか?
「さようなら。鼻毛切りハサミ」って言う程、惜しくは無い...。

香港行きキャセイパシフィック便。今回まで海外旅行と無縁だったので、名前こそ知ってはいたが、このカラーリングはまたく印象に無かった。今ではすっかり馴染みの色。